2024/11/2の日経新聞一面は？

今日の朝刊では、以下の4つの記事が取り上げられています。それぞれの記事について、わかりやすく解説していきます。

地価上昇で固定資産税収増加、地域住民に還元について

記事概要

今回の記事は、地価上昇¹や企業誘致²による固定資産税収増加を活用し、自治体が地域住民に還元する取り組みについて取り上げています。

固定資産税とは、個人や企業が所有する土地や建物に対して課される税金で、特に地価が上がると税収が増え、市町村の財政に大きな影響を与えます。

この記事では、栃木県壬生町をはじめ、茨城県阿見町や北海道倶知安町がそれぞれの地域特性を活かし、税収を住民サービスの向上に役立てている様子が紹介されています。

背景

まず、自治体が増加した税収をどのように活用しているのかが解説されています。

壬生町では、企業誘致に成功し、固定資産税収が過去10年間で59%増加しました。こうした増収は、子育て支援や公共交通の整備といった住民サービスの充実に使われています。

例えば、壬生町は「おもちゃのまち」として知られており、会員制量販店のコストコや産業用ロボットのファナックの誘致に成功。

これにより転入者が増え、地方税収も安定し、都市計画税の廃止や公共交通の整備が進められています。

一方で、阿見町や倶知安町も税収増加を地域のために役立てています。

阿見町は医療費無料化やランドセルの無償提供などの子育て支援を充実させ、将来的には市へ昇格することでさらに住民サービスの向上を図る考えです。

倶知安町では観光業の発展による税収増を、ゴミ処理などの行政負担軽減に充てるため、宿泊税を導入するなど新たな財源確保の取り組みも行われています。

今後の見通しと影響

今後もこうした自治体の税収増加は、地域の活性化と住民生活の向上に貢献する見通しです。

都市部だけでなく、地方においても企業誘致や観光資源を活用することで税収を確保し、インフラ整備や子育て支援といった多様な住民サービスが可能となります。

こうした取り組みは人口減少問題や高齢化の課題解決にもつながり、若い世代にとっても魅力的な地域づくりに貢献すると考えられます。

また、地方自治体の財政状況が改善されることで、地域ごとのニーズに合わせた独自施策が実現しやすくなり、地域の個性を生かした成長が期待されます。

自治体が増えた財源を住民還元に使うことで、地域全体の生活環境が向上し、移住や定住を促進する効果も見込めます。

こうした地域再生の取り組みが成功するかどうかは、各自治体が地元の特徴や住民の要望にどれだけ寄り添った政策を打ち出せるかにかかっており、住民と自治体が協力して地域の魅力を高めることが大切です。

私たちへの影響と考え方

今回の記事が示すのは、自治体が税収を効果的に活用することで、地域の生活水準が向上する可能性があるということです。

特に若い世代にとって、こうした住みやすい環境は将来の移住や就職先の選択肢にも影響を与えるかもしれません。

さらに、自治体が地域にとって本当に必要な施策を展開していくことで、今後の日本全体の経済成長や社会の安定につながる可能性もあります。

日産、米生産３割減　ＳＵＶなど不振　世界販売目標未達について

記事概要

日産は米国市場におけるSUVやピックアップトラック³の販売不振に直面しています。

主力車種である「ローグ」と「フロンティア」は、それぞれアメリカのテネシー州とミシシッピ州の工場で製造されています。

しかし、売れ行きが思わしくないため、9月から稼働日を減らして生産調整を行っています。

この調整により、アメリカ国内での生産台数が大幅に減少し、特に9月には前年同月比で24％も生産が減っています。

また、日産はこうした不調を受けて、在庫を年末までに2割程度減らす計画を立てています。

米国市場においては、近年の消費者の好みやニーズが急速に変化しています。

特に、価格の安いハイブリッド車（HV）への需要が増えつつありますが、日産はこの分野での競争力が不足しています。

日産はHVのラインナップをほとんど持っておらず、HV市場で強みを持つトヨタやホンダとの差が広がっています。

また、アメリカでは電気自動車（EV）の需要も一時的に減少しており、消費者は手頃な価格で環境性能のあるHVを選ぶ傾向が強まっています。

日産の業績への影響

日産の2024年4～6月期の営業利益は前年同期比で99％減少し、わずか約1億円となりました。

この業績の悪化は、アメリカ市場での不振が大きな要因となっています。

また、2025年3月期の営業利益についても前期比12％減の5,000億円を見込んでおり、厳しい経営環境が続くと予想されています。

日産は、生産調整の影響が部品メーカーやサプライチェーン⁴全体に広がることも懸念しています。

例えば、生産台数の減少により、部品メーカーが生産を抑制しなければならない場面が増えることが予想され、部品供給に支障が生じる可能性もあります。

さらに、日産の北米法人では従業員の一部に希望退職を募るなど、人員の見直しも進めています。

今後の見通し

日産の販売不振は、今後の市場戦略に大きな影響を与えるでしょう。アメリカ市場では引き続きHVの需要が増加しているため、HVのラインナップ拡充が今後の課題となります。

現在、日産はアメリカでHVを販売していないため、トヨタやホンダといった競合に市場シェアを奪われる可能性が高まっています。

HV市場への対応が遅れれば、日産の売上回復はさらに難しくなるでしょう。

また、HVはガソリン車に比べて燃費性能が高く、環境にも配慮しているため、エコ意識が高まっているアメリカでは特に需要が増加していると考えられます。

さらに、EV市場についても再検討が必要です。

アメリカではEVの需要が一時的に減速しているものの、今後も環境規制の強化や消費者の環境意識の向上に伴い、EV市場の成長が期待されています。

日産はかつてEV分野で先行していましたが、現在は他のメーカーの技術革新や市場の変化に追いつけていません。今後、EVとHVの両面での戦略が求められます。

影響と課題

今回の日産の減産は、アメリカの自動車市場全体に波及効果をもたらす可能性があります。

まず、生産調整によって部品サプライヤーへの発注量が減少し、部品メーカーにとっても大きな打撃となるでしょう。

これにより、部品供給の不安定化や関連企業の業績悪化が懸念されます。

また、日産の人員削減や生産拠点の稼働縮小により、地域経済にも影響が及ぶかもしれません。

例えば、工場がある地域では雇用機会の減少や経済の停滞が懸念されます。

さらに、日産が掲げる世界販売台数365万台の目標も達成が難しくなる可能性があります。

アメリカ市場は日産にとって主要な市場であり、ここでの販売不振が続けば、他地域での挽回が必要となります。

欧州やアジア市場での需要拡大や、新興国市場での成長が期待されますが、アメリカ市場ほどの影響力はないため、日産にとっての挑戦は続くでしょう。

日産の今後の取り組み

このような課題を解決するために、日産は数々の戦略を模索する必要があります。特に、HVやEVのラインナップ強化が急務とされます。

アメリカ市場でHVを提供することで、燃費性能を重視する消費者のニーズに応えることが可能となり、競争力を取り戻せるでしょう。

また、EVの価格帯を調整し、消費者にとって手の届きやすい選択肢を増やすことも重要です。

政府の支援や補助金を活用しながら、持続可能な自動車市場の構築に貢献することが期待されます。

最後に、アメリカ市場での減産を受けた他地域での販売強化も重要です。

例えば、アジアやヨーロッパでのマーケティング戦略を見直し、現地の需要に合わせた車種展開や価格設定を行うことで、全体の売上向上を図ることができます。

まとめ

日産のアメリカ市場での生産調整は、短期的には会社全体の業績に負の影響を与える可能性があります。

しかし、長期的な市場戦略の再構築を通じて、新たな成長の機会が生まれる可能性もあります。

今後、HVやEV分野の技術開発や価格競争力の強化、さらには地域ごとの需要に応じた販売戦略の見直しが求められるでしょう。

アメリカ市場での競争に勝つことは日産にとって大きな課題ですが、これを克服することで、より強固な経営基盤を築くチャンスともなるでしょう。

半導体産業、政府資産で支援　ラピダスなどが対象について

記事概要

この記事では、日本政府が半導体産業の強化を目的とした新しい支援計画を打ち出したことについて解説されています。

これは政府が保有する株式などを元に「つなぎ国債⁵」を発行し、その資金で企業に補助金を提供するという仕組みです。

支援の中心には、最先端の半導体を量産する目標を持つ企業が含まれ、特にラピダス⁶や熊本に進出している台湾積体電路製造（TSMC）⁷などが対象とされています。

背景

半導体は現代の多くの製品や技術に不可欠な部品であり、特に自動車や家電製品、スマートフォン、コンピューター、AI技術など、様々な分野で利用されています。

しかし、世界的に見ても半導体の生産技術は特定の国や企業に集中しており、供給が滞ると多くの産業が影響を受けます。

日本もまた、国内での半導体供給の強化と安定を目指し、国の支援による生産体制の強化を進めている状況です。

今回の政府の支援策は、財政負担を増やすことなく、国が保有する株式などを活用して必要な資金を調達する方式を取っています。

この方式は、国民の税負担を増やさずに企業支援を実現する狙いがあり、公共財政の健全性を保ちながら必要な支援を提供することを目指しています。

支援策の内容

１．支援資金の調達方法

政府は、NTTやJT（日本たばこ産業）などの国が保有する株式を元に「つなぎ国債」を発行します。

この国債は、一時的な資金を調達するためのものです。NTT株やJT株の配当金、および株式売却益が返済の財源として利用される予定です。

２．支援対象と段階的な支援内容

支援対象は、最先端の半導体を量産する技術を持つ企業に限られます。特に、ラピダスやTSMCの熊本工場が念頭に置かれています。

支援は段階的に行われ、量産前には企業に対して直接の補助金が提供されます。

量産体制に入ると、政府は出資や民間からの融資に対する債務保証といった形で支援内容を変え、民間企業による投資を引き出す仕組みが構築されます。

３．財政への影響と分離会計の導入

新しい支援策はエネルギー対策特別会計内に新たな枠組みを設け、財政上の一般会計とは分離されています。

これにより、政府の基礎的財政収支（プライマリーバランス）⁸には影響しない形となっており、財政健全性を維持しながら企業支援が行えるよう配慮されています。

４．今後のスケジュール

この支援策は11月中にもとりまとめられる予定の経済対策の中で示される見込みです。

また、2025年の通常国会で関連法案が提出される予定です。

今後の見通し

この支援策により、最先端の半導体を国内で量産する基盤が整えば、日本は半導体供給網の強化に貢献できる可能性があります。

また、TSMCなどの海外企業も含めた国内での半導体生産拡大が進めば、日本国内における半導体産業の競争力向上につながるでしょう。

さらに、長期的には国際的な半導体供給網の中で日本が重要な役割を果たすことが期待されます。

影響

日本国内での半導体生産基盤が強化されることで、さまざまな産業が恩恵を受けることが考えられます。

例えば、自動車産業や家電産業など、半導体に依存している分野では、安定した供給が確保されることで生産が安定し、供給の不安定さに起因するコスト上昇リスクも軽減される可能性があります。

また、日本国内での雇用創出や技術革新も期待され、経済全体にプラスの影響を与えると考えられます。

一方で、政府が保有する株式を担保にした資金調達が行われるため、株式市場の動向によっては計画の見直しが必要になるリスクもあります。

特に、株価が大幅に下がると返済財源が不足する恐れがあり、今後の財政運営にも注意が必要です。

しかし、こうしたリスクを抱えつつも、日本国内での半導体産業の育成は重要な課題であり、政府と民間の協力によって競争力のある基盤を築くことが期待されています。

「グローバルサウス」に学べ　日本が今後成長を維持するために必要な外交戦略について

記事概要

この記事では、三井物産会長であり日本貿易会の会長である安永竜夫氏が、日本が今後成長を維持するために必要な外交戦略について述べています。

主なテーマは、「グローバルサウス」への視点を取り入れ、日本が「鎖国的な発想」から脱却し、外部と積極的に連携することの重要性です。

安永氏は、日本が現状のままでは成長が限られると指摘します。

かつての日本は他国から優れたものを取り入れ、自国の発展につなげるのが得意でした。しかし、近年の日本は内向き志向が強く、海外の知識や視点を取り込む力が弱まっています。

特に「グローバルサウス」（新興国や途上国）への関心が薄くなっています。

米国や中国という超大国に挟まれた「ミドルパワー（中堅国）」となっていますが、日本は自国の地位を見直し、グローバルサウスと連携することが必要であると述べています。

背景

ここでいう「グローバルサウス」とは、経済成長を続けている新興国や途上国を指します。これらの国々は、人口が多く、成長のために外資や人材を積極的に受け入れています。

また、米中の争いから距離を置き、中立的な立場を保ちながら、経済発展を最優先とする政策をとっています。

一方で日本は少子高齢化が進んでおり、人口減少が避けられません。そのため、日本は海外からの支援や協力を得ながら、自国経済の成長を目指すことが求められています。

日本の現状

日本は、自国市場が縮小するなかで、経済の成長と分配を両立することが難しい状況にあります。

米国や中国、EUといった経済圏は、内部で資源やエネルギーを自給しやすい一方で、日本はこれらを外部に依存しています。

このため、経済的な自立が難しく、他国と協力する必要があります。加えて、日本企業の多くは内向きで、過去の成功体験に頼りがちです。

例えば、インドなどの成長市場への投資はアメリカやシンガポールに比べて少なく、積極的に海外市場を開拓する姿勢が足りないと言えます。

グローバルサウスからの学びと協力の可能性

安永氏は、日本がグローバルサウスから学ぶべきだと強調します。これらの国々は、特にアジア地域で、外部からの投資や人材を積極的に受け入れることで急成長しています。

また、自由で開かれた経済を求め、経済的なブロック化に囚われない柔軟な姿勢を示しています。

日本もこうした姿勢を取り入れ、特に人口ボーナス期（労働力が豊富で経済成長しやすい時期）にある国々と連携することで、双方にとって利益を得られる関係を築ける可能性があります。

さらに、グローバルサウスの中には、日本と同様に再生可能エネルギー（太陽光や風力発電）の導入が難しい国もあります。

こうした国々に対して、日本の省エネ技術や原子力発電技術を提供することで、環境に優しいエネルギー政策を共有し、二酸化炭素（CO₂）排出の削減に取り組むことができます。

具体的な戦略提案

安永氏は、日本がグローバルサウスと連携を深めるために、政府開発援助（ODA）の使い方を見直すべきだと提案しています。

これにより、限られた予算で日本にとって優先度の高い国々と関係を深め、互いの課題を共有しやすくなります。

具体的には、日本にルーツを持つ人々が多く住む南米や、経済成長が著しいアジア諸国との連携が重要です。

こうした国々は、将来的に日本の人口減少を補い、労働力不足の解消にもつながる可能性があります。

また、国内だけでなく、海外の「グローバルスタンダード」（国際的な標準）に目を向けることが重要だと述べています。

アジアの国々は、若者を積極的にリーダーに登用し、新しい技術やビジネスモデルを取り入れる「リープフロッグ（カエル跳び）」と呼ばれる成長戦略を実行しています。

こうした柔軟な姿勢を見習うことで、日本も国際競争力を高められるでしょう。

今後の見通しと影響

日本がグローバルサウスと連携を深めることで、経済的な成長基盤を強化できる可能性があります。

安永氏の提言は、日本の「鎖国的」な発想から脱却し、他国と協力していく道筋を示しています。

このような戦略を取ることで、日本は、人口減少という国内課題に取り組みながらも、国際社会での存在感を保つことができるでしょう。

特に、グローバルサウスとの連携は、日本が少子高齢化によって縮小する国内市場に依存することなく、成長のチャンスを得るための重要な手段です。

これにより、日本は安定した経済成長を図り、将来的に国内外での地位を確保する可能性が期待されます。

まとめ

安永氏の提言は、日本が国際的な視点を持ち、内向きではなく外向きの発展を目指すべきだというメッセージです。

特に、経済成長の機会が豊富なグローバルサウスと積極的に連携することで、人口減少や資源不足といった国内課題を解決する手助けになります。

また、こうした連携は日本企業が世界で競争力を保つための重要な鍵となり得ます。

今後、日本がどのように「ルックサウス⁹」の姿勢を持ち、グローバルスタンダードに適応していくかが注目されます。

全体のまとめ

これらのテーマはすべて、日本が変化にどう対応し、成長を目指すかという点でつながっています。

私たち個人としても、身近な地域社会への関心を持ち、働く業界の変化に目を向け、またグローバルな視点で世界情勢を捉えることが求められています。

どの分野でも柔軟に対応し、変化に適応する力が必要であり、それがより良い未来を築くための重要なステップとなるでしょう。

ポイントとなる用語解説